小樽には、にしん御殿というお屋敷がいくつかあります。その中でも旧青山別邸というお屋敷が小樽貴賓館として観光客を集めているようです。私も見学をしました。青山家は明治大正を通じ、にしん漁で巨万の富を築きました。その3代目の政恵(女性)は、山形県酒田市の大地主本間家にあこがれ、本間家以上の家をと贅の限りを尽くして建てたといわれています。当時本間家は、「本間様には及びもないが、せめてなりたや殿様に」といわれるほどの日本一の大地主でした。青山家が山形の出身と言うこともあり本間家と交流があったそうです。当時新宿の有名デパートの建設費が50万円、このにしん御殿が31万円だったそうですから、いかに贅沢であったか。その後、にしん漁は取りすぎたためか不漁になっていき、遂に衰退をしていきます。
確かに、御殿は残りましたが、それだけの富を集めながら事業継承ができなかった青山さんは、経営者としていかがなものですかね。にしんがいずれ採れなくなることを予測して、その保護に投資するとか、または、別の新規事業に投資するとか、自分の欲望の実現のために儲けをつぎ込んでしまうようでは、経営者失格だと思いますね。なんだか寂しさと虚しさの残るお屋敷でした。